問題60 事例を読んで、W就労継続支援A型事業所のH生活支援員(社会福祉士)のこの段階における対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Jさん(45歳、男性)は、軽度の知的障害があり、賃貸アパートで一人暮らしをしている。W事業所に通い、そこでの作業を楽しんでいる。ただ、金銭管理が得意ではなく、賃金や年金が支給されるとすぐに使い果たし、ガスや電気を止められ、W事業所への交通費に困ることがあった。そこで、H生活支援員がJさんと面談すると、お金のやりくりに困っているが、興味のあるネットビジネスも始めたいと思っているとのことであった。一方、離れて暮らしている妹からは、将来を考え、ネットビジネスを諦めさせてほしいとの相談があった。
1 ネットビジネスの夢を諦めるように説得する。
2 後見開始の審判の申立てを妹に勧める。
3 日常生活自立支援事業の利用を提案する。
4 共同生活援助(グループホーム)への入居を調整する。
5 W事業所に通うために自治体の移動支援事業の利用を促す。
科目「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」 問題60
今回は第23回(令和2年度)「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」の問題60を解きます。
事例問題です。
1日1問ペースでやってますので、たまに出る事例問題は気分転換になってよいですが、本番はずーっと問題解いてて「あー事例問題だ」って焦っちゃうこともあるかもしれないですよね。
そうならないためにも、私は過去問をとにかく解きまくりました。
もう本番に向けた練習あるのみです。
でわいきましょー。
これから精神保健福祉士の国試を受ける方も、そうでない方も、気軽に過去問に触れることができますので、気軽に最後まで読んでくださると嬉しいです。
※「福祉行財政と福祉計画」問題42からは、それまでと構成を変え、冒頭より問題文→PSWパパの解答→PSWパパの考え→正答→調べてみる、という流れにしました
PSWパパの解答
3
PSWパパの考え ← 認識が微妙・誤っているところは緑太字
1 諦めるようには言わないかな
2 後見ではないですね
3 これですかね
4 この時点で「調整する」がダメだけど、これを提案するのはありだなぁ
5 ネットビジネス問題がスルーになるから違う
私なら4も候補に入るのですが、「最も適切な」ということで試験の正答は3と予想します
正答
3
そうですよね
調べてみる
- 成年後見制度 と 日常生活自立支援事業(東京都社会福祉協議会)
ざっくり、本人が理解できるなら日常生活自立支援事業で、理解できないなら成年後見制度ということになると思います。問題では、「そこ(W作業所)での作業を楽しんでいる」のに「金銭管理が得意ではなく」「交通費に困ることがあった」とあります。要は、本人が楽しいと思う場があるのに、本人の金銭管理能力が乏しいため、楽しい場に行けず、本人のQOLが下がってると解釈できます。今回はこの金銭管理能力に対してどういった支援があるのか、が焦点かと思われます。おそらく本人は説明すればサービスを理解し同意されるでしょうから、この場合は日常生活支援事業ということになると思います。 - 共同生活援助(厚労省)
- 地域生活支援事業(WAM NET)
市町村地域生活支援事業の中に「移動支援事業」があります。移動支援事業は、自治体によって細かい部分で内容に違いがありますが、対象は“自分だけで外に出るのが難しい方”になるので、Jさんはあてはまりません。
選択肢1
試験対策としては、「諦めるように」も「説得する」もとても強い意味の言葉です。こういう言葉が入っているのは除外して大丈夫な可能性が高いと思います。
ただ、言い方は難しいのですが、現場では、本人に“今は”諦めてもらうように対応する場面はあります。どうやって本人に了解してもらうかを、あれこれ考えながら関わります。
選択肢4
基本的には「3」なのですが、「3」的な要素を備えて、かつ、本人の生活に目が届くという意味ではグループホームを提案するのは良いんじゃない?と個人的には思います。あくまで「3」的な要素であるのですが、日常生活支援事業も本人の同意に基づくので、本人が「嫌だ」となると、支援が継続出来ない脆さ(←すいません。私は脆さだと思うのです。)があります。
次回は 午前の問題 問題61 をやります
国試では「最も適切な」という選び方をしないといけないのですが、現場でそれは本当に難しいです。何が正しくて、何が間違っているのかが分からないところからスタートするので、日々の経験を次に活かすしかないのですが、それでも手応えを感じなかったですねぇ、最初の頃は。
当事者のストレングスを大事にするのであれば、支援者自身のストレングスも大事にされて良いと思います。
なので、自分の中で「最も適切」だと思うことをまずはやってみて、その上で「本当に適切だったのか」を客観的に見つめてみてください。
何が正解かを最初から考えるのではなく、自分の気持ちに素直になってやってみて、それが結果どうだったのかを学習すれば良いと思います。
そういう意味で、私なら、“提案する”のであれば「4」のグループホームは真剣に考える選択肢であり、たぶん3と4を同時に勧めると思います。
事例問題は出題者と思想が合わないと腹立ちますが、はまると楽しいのですね。
そうそう。私は現在業務の中で(日常生活でも、ですかね)「最も不適切なものを選ばない」ようにしています。そうすれば、ほとんどのことが可能性として残るのと、相手を狭い選択肢で縛ることもないので、お互いに楽です(たぶんそう思ってると思います)。
参考になれば幸いです。
でわ次回も頑張ってまいりましょー
→ 午前の問題 問題61 へ
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