問題80 事例を読んで、関係当事者の民事責任に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Y社会福祉法人が設置したグループホーム内で、利用者のHさんが利用者のJさんを殴打したためJさんが負傷した。K職員は、日頃からJさんがHさんから暴力を受けていたことを知っていたが、適切な措置をとらずに漫然と放置していた。
1 Hさんが責任能力を欠く場合には、JさんがK職員に対して不法行為責任を追及することはできない。
2 JさんがK職員に対して不法行為責任を追及する場合には、Y社会福祉法人に対して使用者責任を併せて追及することはできない。
3 JさんはY社会福祉法人に対して、施設利用契約における安全配慮義務違反として、損害賠償を請求することができる。
4 Hさんに責任能力がある場合に、JさんがY社会福祉法人に対して使用者責任を追及するときは、Jさんは、損害の2分の1のみをY社会福祉法人に対して請求することができる。
5 Y社会福祉法人が使用者責任に基づいてJさんに対して損害賠償金を支払った場合には、Y社会福祉法人はK職員に対して求償することができない。
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科目「権利擁護と成年後見制度」 問題80
今回は第23回(令和2年度)「権利擁護と成年後見制度」の問題80を解きます。
この事例問題は、ケースとしてはドキッとしますねぇ。
でも考えて、対処しないといけないですよね。
でも、全て「対処しないといけない」と気負ったところでできないこともありますので、皆さんは現場で焦らず、周囲に意見を求めながら進めていけば良いと思います。
でわ、問題いってみましょー。
これから精神保健福祉士の国試を受ける方も、そうでない方も、気軽に過去問に触れることができますので、気軽に最後まで読んでくださると嬉しいです。
※「福祉行財政と福祉計画」問題42からは、それまでと構成を変え、冒頭より問題文→PSWパパの解答→PSWパパの考え→正答→調べてみる、という流れにしました
PSWパパの解答
3
PSWパパの考え ← 認識が微妙・誤っているところは緑太字
1 Hさんの責任能力に話が及ぶのがなんだかなぁ。ただ、この「不法行為責任」というのがわかってないので、なんともいえん。
2 使用者責任と不法行為責任のどちらかしか追求できないなんてことがあるのか?
3 これは、ぽいですよねぇ
4 う〜ん、よくわからんです
5 求償したいけど、どうなんだろう
3としましょう
正答
3
う〜ん、知識としてはゼロでした
調べてみる
選択肢1
追求できるようです
選択肢2
使用者への責任も含めて追求できるようです
選択肢3
正答
選択肢4
全額請求できるようです
選択肢5
前掲、使用者責任(Wikipedia)内にありますが、
民法715条(使用者の責任)に
「前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。」
とあります
次回は 午前の問題 問題81 をやります
苦しい問題だ。わからんし、内容が重い。
医療観察法が出来たときに、確か雑誌『こころの科学』で特集がありました。その中の論文に<精神障害者はこれまで裁判を受ける権利を奪われてた>といったことが書かれていて「そういう解釈ができるのかぁ」と思ったんですよね。
刑法39条により、心神喪失者には罪を問えず、心神耗弱者は罪が軽くなります。
医療観察法により、それまでより裁判所が介入するようになりはしたものの、なんか「そういうことじゃないんじゃない?」という感覚が私にあるのも事実。
観察法の対象となる方は「疾病性」「治療反応性」「社会復帰要因」を満たす方々。ざっくり言うと、病気であり・治療の効果が期待でき・社会復帰につながる、というケースが対象。
なんか釈然としないんですよね。司法領域の方々にとってはこういう基準がわかりやすいのかもしれないけど、そういったケース以外をどうするのか、でこっちは悩んでいるのに…
そしてこの基準にみたなければ、措置入院に流れていくわけです。
つまり、
・検察が刑法39条により起訴できないと判断
↓
・そして(例えば)治療反応性が“ない”と判断し、医療観察法にものせない
↓
・措置入院を検討し、(検察官)通報する
という流れになるわけです。
観察法ができたことによって、措置入院をどうしていくのか、は結構重要なテーマだと思います。
ただし、この論点と、措置入院の方が事件を起こした、ということとは、混同しないでほしいです。
「犯罪を犯すのを未然に防ぐにはどうしたらよいか」ではなくて、
純粋にどういった環境が治療的で、それが本人の今後にどう活きるのか、ということを検討していきたい、ということです。
はい、大きな話になってしまいました。
こんなこと言っても、ただただ地道に考えるしかありません。
でわ、次回も頑張ってまいりましょー
→ 午前の問題 問題81 へ
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